グループ人財データ活用・ダッシュボード構築 要件定義書
いただいた要件定義書の内容と、本モックで具体化した箇所の対応
1. プロジェクト背景と目的
1.1 背景(人財最大化と事業成長へのシフト)
ネクステージグループには約20社の多様な会社と豊富な事業フィールドが存在しています。しかし現状は、入社した会社・部署内でのキャリア形成に閉じてしまいがちで、社員一人ひとりが持つポテンシャルやスキルをグループ全体で120%発揮しきれていない可能性があります。
一方、各事業部では常に採用に多くのリソースを投じていますが、グループ内を見渡せば「スキルマップやキャリア意向に合致した最適な人財」が既にグループ内に存在するケースも少なくありません。
ネガティブな離職防止にとどまらず、労務データや市場年収水準も加味した多角的な分析を行い、「スキルと意向に合わせた適材適所の配置提案」を行うことで、社員のポテンシャルを解放し、グループ全体の生産性向上・事業の右肩上がり成長を実現します。さらに、内部調達(流動化)により過度な外部採用への依存を減らし、人事がより高度な人財開発や組織施策に集中できる好循環を作ります。
1.2 目的
- 人財ポテンシャルの最大化(適材適所・個別最適化)
スキルマップとキャリア意向を可視化し、一人ひとりが最も活躍・成長できる会社や業務をグループ内で提案・配置する。 - 健全な組織・労務環境の構築
勤怠・労働時間データを掛け合わせ、超過重労働の是正やコンディション悪化の兆候を早期発見・改善する。 - 適正な処遇・評価と他社対比での人材流出防止
役職・レイヤー別の社外市場年収データと自社年収を比較・分析し、市場価値に見合った適切な評価・配置・待遇を実現する。 - 事業成長と採用効率化(組織生産性の向上)
全員が120%の力を発揮できる体制を整えることで、無駄な人員増員(採用コスト・労力)を抑え、適正規模での持続的な事業成長を実現する。 - 人事機能の戦略シフト(人事の生産性向上)
採用業務に割いていた時間・リソースを、グループ全体の「人財育成・キャリア支援・組織開発」といった戦略業務へシフトさせる。
2.1 最終ゴール(KGI)
- グループ全体の生産性向上(1人あたり売上・利益・労働時間の最適化)
- グループ内適材適所マッチング数(社内公募・FA・グループ内転籍)の増加
- 市場価値・ミスマッチによる優秀層の離職率低減
- 採用充足率の最適化と採用単価・採用工数の削減
2.2 段階的ゴール・指標(KPI)
どこまで何を集めるかは要相談- データ統合率:全20社の「基本属性・スキル・意向・労務・給与・市場データ」の集約率 100%
- 組織健全性可視化:各社の「時間外労働時間」「有給消化率」「他社年収ギャップ」の可視化完了
- 内部配置による欠員補充率:中途採用求人に対する「グループ内人財のマッチング・配置割合」
- 労務リスク・ミスマッチ改善率:長時間労働&低エンゲージメント層のフォロー改善率
- 採用業務工数の削減率:採用業務に充てていた時間の削減(人財開発へ再投資)
3. 網羅的データ要件一覧
どこまで何を集めるかは要相談・開示できる範囲もある事業成長・適材適所・健全な組織管理を実現するために集約するデータ群です。
| データカテゴリ | 具体的なデータ項目 | 活用目的(なぜ必要か) | 更新頻度 |
|---|---|---|---|
| 基本属性 | 社員ID、氏名、所属会社、部署、役職、グレード(等級)、勤続年数 | 分析の基本キー | 月次 |
| スキル・強み(スキルマップ) | 保有資格、業務スキル、専門領域、強み・得意分野 | グループ内での「適材適所」「ポテンシャル発揮先」を探索するため | 半期〜年1回 |
| キャリア意向 | 挑戦したい事業/職種、希望する働き方、今後のキャリア像 | 社員自身の「やりたいこと」とグループ内ポジションをマッチさせるため | 年1〜2回 |
| コンディション | パルスサーベイ、業務負荷感、やりがいスコア | ポテンシャルが阻害されているサインを検知するため | 月次〜クォーター |
| 労務・勤怠 | 月間総労働時間、残業時間、有給取得率、休日出勤日数 | 負荷状況の把握、バーンアウト予防、組織健全性の計測のため | 月次 |
| 給与・待遇 | 現在の理論年収、基本給、インセンティブ、過去昇給率 | 処遇の適正化および離職リスク分析のため | 随時/年1回 |
| 他社市場ベンチマーク | 業界・職種・レイヤー別他社平均年収データ(外部データ連動) | 自社の給与競争力の把握、競合他社への転職リスク判定 | 年1回(外部調査データ) |
| 育成・採用実績(拡張) | 研修受講履歴、採用経路、初期獲得コスト(採用単価) | 獲得コストに対する定着・活躍度(ROI)の測定のため | 随時 |
4. ダッシュボード画面要件(ビュー設計)
本モックで具体化した箇所目的:グループ内での最適な活躍の場を見つけるための人財検索システム。
- 条件検索(例:「マーケティング経験」×「他社年収ギャップ大」×「異動希望あり」など)
- 社員個人カード(スキル、過去経歴、やりがい、労務状況、年収水準の一覧表示)
- 事業側の求めるスキルと社員の保有スキルのマッチング度自動算出
目的:会社・部署ごとの「労働負荷」「給与水準の妥当性」「組織リスク」を可視化する。
- 労務×コンディションマトリクス(横軸:平均残業時間/縦軸:エンゲージメント)で4象限分析
- 年収ベンチマーク比較チャート(自社年収と他社市場平均の乖離率)
- 会社別の「採用コスト」vs「定着・グループ内活躍率」の費用対効果分析
目的:ハイフォーマーの離職や労務トラブル、ミスマッチを事前に防ぐ。
- トリプルリスク検知(①残業時間が急増 ×②サーベイ低下 ×③他社市場年収より自社年収が大きく下回る)の自動アラート
- 面談・転籍・処遇見直しのアクション対象者リスト化
5. ダッシュボード構築担当者への指示事項
- 給与・労務データの高度なセキュリティ設計(Row Level Security / Field Level Security)
給与や市場年収比などのセンシティブデータは、閲覧ユーザーの権限レベル(経営陣・グループ人事のみ/事業部長は労務まで、など)に応じて列単位・行単位での厳格なアクセス制御を実装してください。本モックでは画面右上の閲覧権限セレクタで3つの権限を切り替えて確認いただけます - 多次元データの相関分析(静的×動的×労務×待遇)
「スキル・意向」だけでなく「残業時間」や「市場年収乖離」などの要素を掛け合わせ、多次元でフィルタリング・クロス集計ができるデータモデルを構築してください。 - 外部ベンチマークデータとの結合
毎年更新される外部の「職種・レイヤー別市場年収データ」をスムーズに取り込み、社員データと紐付けられるマスタ構成にしてください。
6. 今後の進め方(案)
本ドキュメントへのコメント記入・修正
給与・労務・スキルの管理元データの整理と閲覧権限の策定
画面UIおよびデータ連携の仕様確定
特定会社でのトライアルと、グループ内流動化制度の設計
※本画面はイメージ確認用のサンプルです。以降の画面に表示される会社名・氏名・数値はすべて架空のダミーデータです。
ダッシュボードの先にあるもの
「見える化」で止めず、打ち手の下書きまで出す
データを一元化し、危険ゾーンや年収ギャップを可視化する。ここまでは「見える化」。
人が読む前に候補と理由を用意し、人事が「判断」だけに時間を使える状態にする。
1. 自然言語で人財を探す
この場で動きます要件定義書の画面1は、条件を項目ごとに選んで組み立てる設計です。AIを挟むと、探したいことをそのまま文章で書けるようになります。条件の組み立て方を覚える必要がなくなり、現場の事業部長でも使えます。
上の例文をクリックするか、自由に入力して検索してください。
スキルデータを、人手で入力しない
この仕組みが止まる一番の理由は、スキルマップが埋まらないことです。全社員に入力を依頼しても、精度も更新も続きません。要件定義書でも更新頻度が「半期〜年1回」となっている項目です。
既にある非構造データ——職務経歴、評価コメント、1on1メモ、資格、担当業務の記録——からAIがスキルタグを抽出し、下書きを作って本人に確認してもらう形にします。ゼロから書かせるのではなく、出てきたものを直してもらう。入力負荷が桁で変わります。
マッチ度に「なぜ」を付ける
マッチ度が87%と出ても、それだけでは人は動きません。異動を提案するには、事業部長と本人を納得させる理由が要ります。
スキルの重なり、本人が書いたキャリア意向、これまでの担当業務を根拠に、「なぜこの人がこのポジションに合うのか」を文章で下書きします。人事はそれを直して使う。声をかける前の一番重い作業がなくなります。
アラートを、面談の論点にする
リスクスコアが出ても、受け取った上長は「で、何を話せばいいのか」で止まります。スコアは行動を指示しません。
その人に何が起きているか(いつから残業が伸び、どの設問が下がり、処遇が市場とどう乖離しているか)をAIが要約し、1on1で確認すべき論点を3つ下書きします。フォローの質が担当者の力量に左右されなくなります。
サーベイの自由記述を捨てない
パルスサーベイのスコアは、悪化してから動きます。兆しが最初に出るのは自由記述ですが、量が多く、読まれないまま終わりがちです。
自由記述をAIが分類・要約し、スコアが下がる前の兆候として組織単位で拾います。定量データだけでは出ない「まだ数字になっていない不満」が見えます。
採用する前に、社内を先に見る
各社が求人を出す時点では、グループ内に合う人がいるかどうかを誰も確認していません。ここが採用コストの発生源です。
求人票が起票された瞬間に、AIが要件を読み取ってグループ内の候補者を自動で提示します。社内を見てから外に出す、という順番が仕組みとして強制されます。
市場年収データの取り込みを毎年の作業にしない
外部の市場年収データは、調査元ごとに職種の呼び方も粒度も違います。自社の職種・グレードに手作業で対応付けると、更新のたびに同じ作業が発生します。
AIに対応付けの下書きをさせ、人は差分だけを確認する形にします。データが古いまま放置されて判断に使えなくなる、という状態を防ぎます。
人事データにAIを使う上での線引き
AIが出すのは候補と根拠と下書きまでで、評価・処遇・異動を自動で決めることはしません。決めるのは人事と経営です。出力には必ず根拠データを添え、後から検証できる形にします。
給与・サーベイ・評価は最も機微なデータです。貴社でご利用可能な生成AIの環境に合わせて構成し、個人が特定される情報を外部の学習に渡さない前提で設計します。
要件定義書5-1のRow Level / Field Level Securityは、後から足すと必ず穴が空きます。データ棚卸しの段階で「誰が何を見てよいか」を先に確定させ、そこから画面を作ります。
AIに何をさせているかがブラックボックスになると、数字が信用されなくなった時点で使われなくなります。処理の中身とコードは開示し、貴社側で読める・直せる状態を保ちます。
※本ビューは当社からのご提案です。実装範囲・優先順位は、データ棚卸しの結果とご要望を踏まえて決定します。